第66回全日本鍼灸学会

10日・11日の2日間、東京大学の本郷キャンパスにおいて開催された第66回全日本鍼灸学会に参加しました。
広大なキャンパスは緑が豊富で、都民が憩う貴重な“都会のオアシス”という印象でした。
 さて、午前中は「難治性神経疾患に対する鍼灸治療の現状と課題」と題するシンポジウムに参加しました。頭部外傷後の遷延性意識障害患者や、ALS(筋委縮性側索硬化症)、ジストニア(筋緊張異常による不随意運動)などに対する鍼治療の効果や作用機序について発表がありました。
 午後は「がん患者に対する鍼灸治療の現状と新たなる展開」と題するシンポジウムに参加。抗がん剤の副作用に対する鍼灸の効果や、患者のQOL向上に及ぼす効果、また緩和ケアにおける鍼灸の役割などについて興味深いお話を聴くことができました。
 難病やがんの患者さんに対する鍼灸など一昔前までは考えられなかったことですが、統合医療という考え方が拡がる中で、鍼灸が現代医療を補完したり、併用することで様々な効果を及ぼすことの検証が進みつつあることを実感しました。
 こうしたエビデンス(科学的根拠)が蓄積されることで、これら疾患に対する鍼灸の「診療ガイドライン」が策定され、さらに教育の場に反映されていくことを大いに期待したいと思いますし、同時に私たち教育に関わる者のレベルアップも図っていかねばとあらためて感じました。
 シンポジストの一人、大阪大学の大野 智先生の言葉が印象的でした。
「エビデンスは大事だが、エビデンスがないからといって“効かない”ということではない。プラセボ(偽薬)でも全く効かない治療法はない」と。
 治療にあたる者がいかに患者さんに寄り添えるか、患者-医療者関係がいかに大切かをあらためて認識した学会でした。