私はゴリラになりたい

私はゴリラになりたい

『私はゴリラになりたい!』と、ある患者さんがおっしゃいました。

 “私は貝になりたい”というテレビドラマは見たことがあるのですが、まさかゴリラになりたいとは…笑
新型コロナの感染は我々人類だけでなく、動物にも感染しているようです。海外の動物園などでは、ゴリラの群れでも集団感染が起こったというニュースが報道されました。特に霊長類には感染しやすいようです。ニュースのゴリラ達は、幸いなことに特別な治療をせず軽症で回復したようです。

 患者さんもそのニュースに触れ、「やはり、人間よりも動物達の方が自然治癒力に優れていると思う!」との感想を持たれたようです。
 確かに、自然界での動物達(今回のニュースは、動物園の飼育下ですが)は、暑くても寒くても、ケガをしても、自分の自己治癒力や免疫だけで生き延びています。対して人類は、生活環境や医学の発展に伴い、自分の周りの外部環境を適切に保つことや、病院での適切な医療によって健康を維持し長生きするようになってきました。
 東洋医学の考え方には、『未病治』といい、病気になる前に予防することが大切という考え方があります。医学の発達していなかった時代では、いかにして病気を予防するかが大切に考えられていたのかと思います。自然や季節の流れに逆らわず、その時々の気候に合わせた養生法で健康や生活を豊かに過ごしていた時代だったのでしょう。
 生活環境が豊かになったり、良い薬や治療法などの医学が進歩しても、やはり基本は“人間らしい生活”なのではないでしょうか。

 『私はゴリラになりたい!』という患者さんのお気持ち。もしかしたら、今の人類に必要なことかもしれません。